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瑠衣は遠くを眺める…夜目はかなり利く。
遥か向こうに歩く男…
(リストの人間っ!!)
瑠衣は素早く紙に字を書く。
"長州兵見つけました、少し行って来ます!!"
紙を押し付けて、木から飛んだ!!
「えっ…あっちょっと!!」
総司は慌てて後を追う、自分も足は早いと思っていたが、それ以上に早い、何とか視界に入る程度で追い付いているが、何時見失うか分からない。
その時、急に止まった。
『ドスッ!!』
刀を振るう肉を経つ音が聞こえる。
総司が追い付いた時には、長州兵は心の蔵一突きで息絶えている。
「・・・・・・・」
その姿に茫然としてしまう総司…そこには無表情に刀の血を払い鞘に戻す姿がある…。
そして死体を指差し、此方にも指を一本立てて見せる。
「…一人…と言う事ですか?」
それに頷く瑠衣。
「しかし…良くこんな遠い場所を見えましたね。」
それには、にっこり笑う。
「?????痛っ!!」
不思議と見覚えがある様な仕草に頭が痛くなる。
瑠衣は慌てて総司を掴むそして根付けに触れ力を調節する。
「大丈夫ですよ、何時もの事ですから。」
やんわりと笑い、瑠衣を静止する。
瑠衣は掴んでいた手を離して陣に歩き出す。
「あ~待って下さいよぉ~」
総司は慌てて追いかけ始めた。
あれから二日、残党狩りも一段落付き、近藤達は屯所を目指す、瑠衣も京の街までは一緒に戻って来た。
(やっぱり懐かしい…本当は話したかった…。)
しかし今の段階で屯所に行く訳にもいかない。
壬生方面に入る時、瑠衣は紙に文字を書き、筆入れと一緒に総司に託す。
「???」
そして、にっこり笑い、隊から外れ姿を消した…。
「あっ!!」
突然で捕まえる事が出来なかった。
筆入れと紙を見てみると、紙に何か書いてある。
"滝の裏の洞窟で待ってます"
そう一言…。
総司はそれを見て驚きが隠せない。
(どうして…あの場所を…私しか知らない筈なのに…?)
その紙だけそっと懐に入れて、後は井上に返した。
自分の隠れ家に転移した瑠衣、転移方陣のお陰で簡単に此処に転移出来る。
そして家の中に入った。
中は簡単な炊事場と、囲炉裏付きの土間、その向こうに部屋が一つ、一人で生活するには十分な広さがある。
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