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土間には箪笥とか生活品が置いてある。
箪笥の中から着替えを出し、着流しに着替える。
そして奥の部屋に入って行く。
奥の部屋は八畳程の畳部屋になっていて、主に寝室。
その隅に文机があり、紙が束になって置いてある。
瑠衣は文机に座り、紙の束…リストを捲っていく。
(残党狩りで二人、リストの人間が居た。)
二人のリストを見つけ、別な場所に置く。
こっちは始末し終わった分、もう二~三十枚になるか…やってない様でこのひと月ちょっと、密かに始末していた。
それでもリストはまだまだある、また捲りだして次の目標を探す。
(今京に要るのは十人ちょっとか…。)
ふぅ~と溜め息を吐き、禁門の変最後の仕事に向かう…。
桂の隠れ家に来た瑠衣、最後の仕事とは久坂の伝言…いや遺言…それを伝えに此処に来た。
中に入り二階に登る。
「小五郎…居る?」
戸を開けて中に入る。
「おや、早い帰りだね、お帰り。」
桂は畳の上で寝転がっていた。
「あ~帰って来た訳じゃ無いんだ…。」
頬をポリポリ掻き言いにくそうにしている瑠衣。
桂は胡座を掻いて座り、不思議な顔をしている。
「あのね…久坂から伝言…。」
「久坂から??」
「うん…"すまない"って…。」
その言葉に桂は感づいたのだろう、少し寂しそうな顔をする。
「そうか…すまない…か…うん、瑠衣わざわざありかとう。」
「いや…ただ小五郎の伝言聞いて後悔が一つ無くなったって言ってた…それと小五郎が一言だから俺も一言だって…。」
「ぁははは…一言だから一言で返す…彼奴らしいな…私はね久坂は好きだったよ…。」
「うん、向こうも同じ事言ってた…。」
「そうかい…彼奴がね…瑠衣、悪いけど一人にしてくれるかい??」
「…うん…それと、今度こそ本当に此処には中々来れなくなる…また何時か合おう。」
そう言い残し瑠衣は桂の隠れ家を出た。
(次は総司…一番の壁だな…)
瑠衣は歩きながら漠然と考えていた…。
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