3章"再会"

11/31

2977人が本棚に入れています
本棚に追加
/1184ページ
土間には箪笥とか生活品が置いてある。 箪笥の中から着替えを出し、着流しに着替える。 そして奥の部屋に入って行く。 奥の部屋は八畳程の畳部屋になっていて、主に寝室。 その隅に文机があり、紙が束になって置いてある。 瑠衣は文机に座り、紙の束…リストを捲っていく。 (残党狩りで二人、リストの人間が居た。) 二人のリストを見つけ、別な場所に置く。 こっちは始末し終わった分、もう二~三十枚になるか…やってない様でこのひと月ちょっと、密かに始末していた。 それでもリストはまだまだある、また捲りだして次の目標を探す。 (今京に要るのは十人ちょっとか…。) ふぅ~と溜め息を吐き、禁門の変最後の仕事に向かう…。 桂の隠れ家に来た瑠衣、最後の仕事とは久坂の伝言…いや遺言…それを伝えに此処に来た。 中に入り二階に登る。 「小五郎…居る?」 戸を開けて中に入る。 「おや、早い帰りだね、お帰り。」 桂は畳の上で寝転がっていた。 「あ~帰って来た訳じゃ無いんだ…。」 頬をポリポリ掻き言いにくそうにしている瑠衣。 桂は胡座を掻いて座り、不思議な顔をしている。 「あのね…久坂から伝言…。」 「久坂から??」 「うん…"すまない"って…。」 その言葉に桂は感づいたのだろう、少し寂しそうな顔をする。 「そうか…すまない…か…うん、瑠衣わざわざありかとう。」 「いや…ただ小五郎の伝言聞いて後悔が一つ無くなったって言ってた…それと小五郎が一言だから俺も一言だって…。」 「ぁははは…一言だから一言で返す…彼奴らしいな…私はね久坂は好きだったよ…。」 「うん、向こうも同じ事言ってた…。」 「そうかい…彼奴がね…瑠衣、悪いけど一人にしてくれるかい??」 「…うん…それと、今度こそ本当に此処には中々来れなくなる…また何時か合おう。」 そう言い残し瑠衣は桂の隠れ家を出た。 (次は総司…一番の壁だな…) 瑠衣は歩きながら漠然と考えていた…。 ・
/1184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2977人が本棚に入れています
本棚に追加