4章"裏表"

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櫓を降り、屋根を走る、目的の場所は祇園から少し離れた暗闇… 今日の人間は京に潜む長州藩士、リストの人間に佐幕も倒幕も無い。 時には佐幕派の大物を始末する事もある。 瑠衣は屋根の上に身を隠し、目的の人間が来るのをじっと待つ…。 (…来た…。) 祇園で呑んだのか、上機嫌な男が一人此方に歩いて来る。 "タンッ" 『グサッ!!』 機会を伺い"神足"で一気に相手に詰め寄り、喉を一突き…そして地に足を付けた反動を利用しまた屋根の上に登る…。 相手は何が起こったのかも分からず命を落とし、その場に倒れる…。 「始末完了…。」 刀を振り鞘に収め、一息付く。 総司の菊一文字…使い勝手はすこぶる良い、所有者が総司だった為か自分との相性も合う。 流石に現場に長居は出来ないので少し離れた場所に移動する。 (…あれは…) 瑠衣が居る屋根の上の近くを桂が歩いている。 挨拶ぐらいしておくかと思い、屋根から降り、普通を装い桂に近付く為に路地を歩く。 「…小五郎、こんな時間に散歩??」 後ろから声を掛ける瑠衣。 桂は驚いて此方に振り向く。 「…瑠衣!? 久しぶりだね、瑠衣こそこんな時間にどうしたんだい?」 「う~ん…散歩??」 本当の事は言えないので、曖昧に誤魔化す。 「クスクス…こんな時間に散歩ね…まぁ瑠衣らしいかな?」 「らしい…↓↓」 その言葉に、つい眉を寄せてしまう。 「此処で立ち話もなんだから、私の隠れ家に来ないかい? 酒なら嫌な程あるしね。」 「う~ん…まぁ良いか♪」 瑠衣と桂は隠れ家に向かって歩き出す…。 (…待てよ…このまま進めば巡察組とぶつかる…。) 新撰組は桂を追っている、それに自分も一緒に居るのを見られるのも不味い。 「小五郎、こっち!!」 桂を無理矢理引っ張り、別の道に進む瑠衣。 藤堂達との距離が近い。 「急にどうした…んっ」 間に合わないと踏み、路地の隙間に身を隠す。 「小五郎気配消せるよね、それと暫く話さないで…。」 桂は分かったと頷く。 気配を消し、藤堂達が通り過ぎるのをひたすら待つ…。 「「・・・・・・・・・」」 藤堂達巡察組は此方に気付かず通り過ぎて行く…。 藤堂の気配が消えた所で、やっと桂を離す瑠衣。 ・
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