4章"裏表"

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(小五郎は気付いたのか、気付かなかったのか…。) 沖田総司と菊一文字はかなり有名な話、この刀がバレると、所有者も直ぐ分かる…。 今当人は加洲清光を使用してるのに噂が勝手に一人歩きをしている。 「刀は使ってこそ刀…誰かがそんな事言ってた。」 自分に合わせてくれたんだろう、お猪口では無く湯のみが置いてある…。 瑠衣は酒を注ぎ、ぐいっと胃に流し込む。 「使ってこそ刀ね…確かに観賞用にただ置いてあるだけの刀に意味は無いと私も思うよ、でも出来たら使いたくない…其れが本音かな…。」 桂も酒を煽る。 「其れが出来たら苦労はしない…今の自分にはそれしか無いから。」 「何故他の道を考え無いのかい…瑠衣なら何でも出来そうに思うけど。」 「前も言った、唯一の道だと…そして決めた…其れに賭けると…それにこの話とは別に、自分にはどうしてもやらなくてはならない、この手を血で染めても…。」 桂はお猪口を置く。 「瑠衣、君は帰りたい場所に帰れたのかい?」 瑠衣も湯のみを置く。 「あぁ…帰れた、皆自分を受け入れてくれた…そしてあの人も…小五郎こそ、坂本竜馬に会ったの?」 「会ってみたよ…変わった人だね…けど言っている事は間違ってはいない…私はね坂本に賭けてみようと思う。」 歴史通りに事は進む…自分はそれを見守るだけ…。 「良いと…思うよ、小五郎がそう選んだのなら…自分も選んだから…血の道を…。」 この先の新撰組は掟と血と裏切りの道を歩む…それを承知で戻った…総司の為に。 「そう…其れが瑠衣の選んだ道なんだね、なら私は何も言わない、己の信じた道を行くまでだよ。」 「うん…何時か本当に小五郎とは敵として会うんだろうね…自分は徳川方に付いてしまったから…。」 「徳川だって一枚岩じゃ無い、もしかするかも知れないね。」 (其れは無いよ小五郎…) 「ぁはは…確かに一枚所か何十枚だよね…ぁはは…。」 悟られ無い様に陽気に振る舞う瑠衣…本当は桂と交差する事は無い…。 なのに不思議な縁で会ってしまった。 「本当に瑠衣はなんでも知っているみたいだ、私はね長州を立て直したいんだよ…京に攻めた過激派だけで無く、今長州では外国にも手を出してる、多分それも負けるのだろうね…そして、其れからが勝負だと私は思っている。」 ・
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