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ジン達がさっきまでいた西区の道は賑やかを通り越してうるさいくらいだった。
そこから直ぐの裏路地に行ったぐらいでは喧騒が聞こえてきて静かになるはずがない。
では何故ジン達のいる場所はこんなにも静かなのか。その理由はいたって簡単で、ただ裏路地に入っただけでは誰かに見つかってしまう可能性があったからだ。
なのでジンは裏路地に入った後もちょっとの間、“適当”に走り続けていた。
{ここってどこら辺だと思う?}
{ふ、ふむ…………。分からないのだ}
みんなは見知らぬ土地に行った時、何とも言えない不安に襲われる事は無いだろうか?
もし襲われない人がいたらその人はそうとう勇気があるのか、普段からボーッとしている人であるだろう。
作者の考えでは、その不安とは『迷子になる』という事に対する恐怖心からくるものであるだろうと思っている。
ちなみに作者は見知らぬ土地へ行こうとも思わないので自分がどういう風になるかは分からない。
話がそれてしまったが現在ジン達の状況がだいたい分かるだろう。
何も考えず適当に走った結果この街に詳しくないジン達は見事に迷ってしまい、現在は地図とにらめっこしている。
{さっきまでここら辺でアイスを食べてて………}
{いや、主よ。そこは東区だ。われわれがいたのは西区たぞ}
{あ、そっか。じゃあここら辺から路地に入って………今ここかな?}
{んー、しかしワレは数えていたが右に13、左に21回曲がっておったからここら辺ではないか?}
{でもそこだと近すぎるよ?適当だけど結構走ったから………}
ああでもない、こうでもないを続けるジンとマグナ。目印が何もない裏路地にいる時点で自分達がいる場所が分かるはずもないのだが、こういう経験がないジン達がすぐ気付くことはない。
結局、マグナが気付くまでしばらく話し合いが続いた。
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