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メリルが起きていられた理由は今までずっとはしゃいでいて時間の流れを忘れていたから、と言うのもあるが………
「ほらメリル、もう寝なさい。明日学園へ行く準備をするんでしょ?」
そう言ってメイシスはメリルの脇に立って、促すが―――
「…………………フルフル」
メリルは立つことも口を開くこともせず、眠い目を擦りながら首を横に振るだけだった。
「どうして?」
ジンが首を傾げながら聞くとメリルは若干俯く。
「ジンさんは明日…………街を出るの?」
「うん、出るよ。ギルドでクエストを受注したからね。明日には出発しないと」
「なら………寝ない…………」
あっさり返事をするジンにメリルは悲しそうな顔になった。これにジンは気付いたが、何故悲しそうな顔をするか分からず首を傾げる。
「メリルが寝るのと僕が明日出発するのと、どういう関係があるの?」
本当に分からないという顔をするジンにメリルはさらに顔を俯かせる。
もう100人中99人はメリルが何を言いたいか気付いているだろう。
実際、ジン達の会話を近くで聞いているメイシスはニヤニヤしながら2人を楽しそうに見ている。
しかしジンは分からない。いや、分かるはずがない。今メイシスがやっている“察する”という行為は日々他者とコミュニケーションをとって、経験を重ねないと使うことが出来ない。
故にいくら神と言えど、ほとんど独りだったジンは相手に言葉で気持ちを表してもらわないと分からない。
なのでジンはメリルに再度聞いてみた。
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