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「なんで?」
「えっと………」
しばらく俯いたまま、目を閉じるメリル。しかし何かを決心するように目を開けると、勢いよく顔を上げた。
「だ、だってもっとジンさんとお話していたいの!でも寝たら明日になっちゃう。明日になったらお別れしちゃうから………だからまだ、起きてる…………」
前半は強く、後半になるにつれて花が萎むように再び俯いてしまった。
けっこう勇気を振り絞ったらしく、テーブルの上で握った手はプルプル震えている。
それに対してジンは……
「んー………、ん?」
いまいち分からないという表情をしていた。と、いうことで困った時のマグナ。
{ねえねえ、マグナ。つまりメリルは何を言いたいの?}
{分からないのか?}
{うん、さっぱり}
マグナは不思議そうに念話で聞くがジンに本当にきっぱりと返されてしまったので少し返事に困ってしまった。
{……………要するに、その小娘は主と別れて寂しい思いをするのが嫌なんだろう}
{さびしい?}
{…………そうだ}
{ふーん。さびしい、ねぇ。……………良く分からないや}
{………………}
神は世界に住むどの生物よりも長寿で、どの生物よりも孤独の時間が長い。ゆえにジンはメリルの寂しさを感じる気持ちが分かるのか、それとも元から寂しさなんて感じた事がないのでメリルの気持ちが分からないのか。
この二つの内どちらかだと考えていたマグナだったが、後者だと分かってしまったので何も言えなくなっていた。
何か助言をしようと思っていたマグナだったが、神のように長い時間を生きている者に対して自分のような神と比べてちょっとしか生きていない者が「寂しい」という気持ちを説明しても理解されないと考えたからだ。
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