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{寂しいって、もう会えなくなるって思うから感じるの?それとも、ただいなくなると感じるの?}
{ん?ああ、多分前者だと思うぞ。共にいた時間が短いから後者ではないと思うが…………それがどうかした?}
{ううん、べつに………}
何を考えているのか、数秒の沈黙の後ジンは割と大きいテーブルに乗り出すと未だにプルプル震えているメリルの右手を掴んだ。
「あっ………」
メリルが驚きの声を上げるがそれを無視してジンは右手でメリルの右手を2人の目線の高さまで持ち上げた。
そこからジンはうまく自分の小指をメリルの小指に絡めて………
「これでよし!」
「これって…………」
「うん、“指切り”だよ」
そう言いながらジンは満遍(マンベン)の笑みを浮かべた。
「え、え?えっと」
「これでもう大丈夫だよ」
「???」
可愛らしく首を傾げるメリルの手をジンはプラプラと振る。
「また直ぐに会えますように、ってお願いしたんだよ。メリル、寂しい思いをするのが嫌そうだったから」
「うっ!あう…………」
どうやら図星だったらしく、一瞬で顔を真っ赤にして固まってしまった。
{ふふっ、当たりみたいだよ?マグナありがと}
{……まぐれだ}
{あはははっ}
ジンはメリルとマグナ、1人と一匹の様子に内心嬉しそうに笑いながら意識をメリルに戻す。
「ずっと一緒にいるってのは無理だけど沢山会ってお話するのは出来るよ。ほら、僕は旅人だから好きな時に好きな場所へ行けるから。だからまた会いに行くから、ね?」
「ぅ……ん…………うん!約束だよっ?」
「うん、約束」
2人はお互い笑顔で相手を見ながら同時に小指を離した。
(寂しい…………か。相変わらず僕には分からない事が多すぎだよ…………)
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