第6章 神、獣達の夜に

43/46
前へ
/220ページ
次へ
重力に従って落ちてくるそれを落下地点にいるジンは、闇光の峰(みね)で野球のごとく???めがけて打ち返した。 しかし、既にそこには誰もいなく、氷の玉はそのまま村の外まで飛んでいった。 ???「何処からどう見てもフェイクだろ。お前は馬鹿なのか雑魚なのか…………どっちなんだ?」 背後からの声になんとか横目で確認すると、そこには剣を振りかぶっている???の姿。対してジンは、調子にのって完全に刀を振り切った状態。 隙だらけの体勢でジンがとった行動は………刀身から魔力を噴射することによってコマのように回転することだった。 普通、どんな行動をしようとしても0から100まで行くのに時間がかかってしまう。なので刀を振り切った状態(0)から刀を振る(100)までは自分の力だけではいくらジンでも時間がかかってしまうのだ。 そこでジンはジェットのように魔力を噴射することによって、無理やり0から100に持っていったのだ。 ジン「とお!」 ???「くっ!」 響き渡る金属音。一瞬の均衡の後、打ち勝ったのはジンの方だった。???は衝撃で吹き飛ばされ、そのまま綺麗に着地をする。しかし、少しの時間の間でもジンの身体強化+遠心力+魔力ジェット=音速の斬撃を受け止めた腕はプルプル震えていた。 ???「中々やるな、お前。あの体勢から反撃されるなんてな、ビックリしたぞ。それにムチャクチャな魔力の使い方するし、お前は馬鹿の方だな」 そう言いながらも嬉しそうに話す???に、ジンも楽しそうに返す。 ジン「あはははは、ありがとう。でもビックリしてるのは僕もだよ。まさか“あの一瞬で刀身が凍り付く”なんてね」 ジンが闇光を掲げてみるとそこには確かに刀身が氷で覆われていた。あと少しのところでジンの手も凍り付いていたかもしれない。 ジン「てことは今の一撃は痛み分けかな?」 ???「そうみたいだな。まあ、俺はお前にダメージを全く入れられなかったが…………。しかし、流石はあの“水帝”が特別推薦しただけのことはあるな。なあ?ジン」 ジン「え?何で僕の名前を知ってるの?」 キョトンとした様子でジンが尋ねてみると、???は笑いながら剣を消した。 *
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4900人が本棚に入れています
本棚に追加