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  ◇ グリーンホテル広島は、どう見ても普通のビジネスホテルだった。 少し煤けた白い外壁。 横幅も奥行きもないかわりに背丈だけは高い。 ビルの林立した駅前は空が狭く、改めてよその地へきたことをふたりに意識させた。 自動ドアをくぐりフロントを見ると、とたんに康太は心拍数が跳ね上がるのを感じた。 当たり前だけど、ホテルだ。 家族旅行、もしくは修学旅行以外で、ホテルなんて入るのは初めてである。 つまり受付を済ませるのなんて、普通は大人の誰かがやることで。 そこへ自分が行かねばならないのだと思うと、にわかに緊張してきた。 とはいえ、やらねば。 さすがに女の子にこんなことまで頼ってはいけない。 康太はゴクリと唾を飲み込み、繋いでいたニコの手を離した。
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