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◇
どうにか受け付けを終え、コータはカードキーを手にした。
いよいよ、部屋である。
エレベーターの中、隣でニコは相変わらず携帯をいじっている。
――この狭い密室の中で、
意識してしまうのは俺だけかよ。
そう思うと、康太はやるせない気持ちになった。
康太の方は、すでに髪の生え際あたりに汗が滲んでいる。
夏だから暑くて当然という理由以外に、さっきから全身に変な汗をかいていた。
というのも、フロントで部屋を取ったとき。
最初からツインの予定で予約していたものの、今からでも変更可能と言われて迷ったのだった。
このまま同じ部屋に泊るか、それとも別々の部屋をとるか。
康太なりに葛藤した挙句、予定通りにしたのだ。
することも、我慢も出来る距離。
――本音を言うと、ツインでも我慢出来るかどうかは微妙だけど……。
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