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女「もう、ておくれです」
俺「ておくれって、見た感じ大丈夫みたいだけど……まさかっ!」
女「ギクッ」
俺「後ろを鏡で見せてもらえますか」
女「どうぞ、こんな感じです」
俺「その鏡、裏です」
女「はい…」
俺「手が邪魔で見えませんが…」
女「昔、片桐ハイリがしていた前髪みたいな感じですね」
俺「イメージではなく、実物を見せなさい」
女「がっかりしますよ」
俺「言うなよ。……どれどれ」
女「いやん、カワユス♪」
俺「なんじゃこりゃっ」
女「お似合いですよ~」
俺「なんてことをしてくれたんだ!」
女「来年の春には流行りそう、個性的な髪型ですね」
俺「個性的って言葉で片付けるな!」
女「似合いますね、その後ろ髪♪」
俺「後ろ髪が似合うとか聞いたことないし。もー、どうするだよ」
女「そんな時はコレ」
俺「なにソレ」
女「リーブ21のパンフレットです♪」
俺「あのね、髪が短くなっただけで、ハゲてないから」
女「そうだ!」
俺「今度はなんだよ」
女「私の師匠に手直しをお願いしてみます」
俺「キミの師匠? 信用できないなあ」
女「師匠は世界コンクールでも入賞経験がある実力派なんです」
俺「本当に~? そんなにすごい人なの?」
女「もちろんです。あの青山にも三つ支店があるんですから」
俺「青山かあ。少しは信用できるかも。よし、そこに行こう!」
女「よかった~。私から電話しておきますから、お客様はすぐに行って下さい」
俺「ああ、わかった。ところで店の名前は何?」
女「コレが師匠の名刺です」
俺「ふむ、なになに……『ペットサロン・愛犬元気』 代表取締役社長・日本ドック協会理事……」
女「私も師匠みたいに、早くお店が持ちたいな~」
俺「キミ、無免許?」
→End
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