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「あらまあ、殴り合いのケンカかしら?」
「きっと、金髪の男の子に抱かれていた女の子を巡って、闘争が繰り広げられていたんだな」
「公衆の面前で恥ずかしくないのかしらねえ。これだから、最近の若い子は!」
野次馬達がざわめく。
「い、行きましょう、ディザス君!」
「う、うん!!走れー!!」
ディザスはクレイを背中に負って、結祢はクレイの大蛇矛を持って全速力で駆け出すのだった……。
クレイが目覚めたのは、その日の朝方四時過ぎだった。
「……っ。俺様は……また……」
ズキズキ痛む頭を左手で抑えて上半身だけ起き上がって辺りを見回すと、ソファに体半分を載せて寝ている結祢とディザスの姿が見えた。
(こいつら……俺様が目覚めるまで起きているつもりだったのか?)
クレイはゆっくりと起き上がって、自分が寝かされていたベッドにあった布団を、二人の背中にかけた。
二人はそれでも起きることなく、スゥスゥと心地よさげな寝息を立てている。
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