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「俺様は頭痛がして寝れなくなったっつうのに……いいご身分じゃねえか」
クレイはふああと欠伸をすると、窓べりに両肘をつき、外に視線を移す。
白み始めた藍色の空には、黄色い右半月。
オレンジ色の朝日が、ほんの少しだけ顔を覗かせていた。
(下界の朝日、か……。初めて見たが悪くねえな……)
「クレイ……君?」
名を呼ばれて、バッと振り返ったクレイの瞳には、右目を擦りながら歩いてくる結祢の姿が映った。
「起こしちまったか?」
「いえ……クレイ君のせいじゃありません。変な夢を見てしまって、それで起きてしまいました」
「……そうか。まあ、こっち来い」
クレイは柔らかく微笑みながら、結祢に手招きする。
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