兎はどうやって愛を求めるか

8/16
前へ
/27ページ
次へ
暫くドアを叩いたり、ノブを何回か回したけど、結果は同じで。 体力も限界だったから、その場にずるずると座り込んだ。 「…クソヤロウ!!」 悔しさのあまり唇を噛みしめ、拳で床を叩く。 じん…と痛みがじわじわと沸き上がり、腕が痺れた。 何なんだアイツら。 誘拐した挙げ句、一緒に住めだなんて…っ 「っ、はぁ……」 一番にひっかかるのはやはり母さん。 そう言えば、光って人は私のことは言ったと言っていたな。 通りで電話もメールもないわけだ。 「見捨てられた…」 ふらふらと立ち上がり、ベッドに沈む。 沸き上がるのは悲しみと怒り。 私は声を殺し、ひとりで泣いた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加