2人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
『ちょっと~!起きて起きてぇ!!』
「ん…」
体が大きく左右に揺れる。
うっすらと瞼を開け、目を擦りながら体を起こした。
寝起きのせいか、頭がボーっとする。
『秋夜の奴、何も軟禁しなくてもいいのに…大丈夫?利音ちゃん。』
…誰、この人。
いつの間にか知らない女の人がいた。
腰まである髪は栗色で丁寧に巻かれている。
目はぱっちりのデカ目で、ふっくらした唇にはグロスがたっぷり塗られていた。
一言で言うと、“美人”
男はこういう女に目がないのだろう。
『ほんとにごめんね利音ちゃん。シュウの奴、帰ってきたらしめてやるんだから…』
「なんで…私の名前を知ってるんですか。」
問うと女の人は目を瞬かせ、大きな瞳をさらに大きくした。
『シュウから聞いてないの?』
「…何も。」
『あの馬鹿……』
はぁ…とため息を吐き、前髪をくしゃりと掻き分けた。
ふわりと漂ってきた甘い香りが鼻孔を刺激し、思考回路を鈍らせる。
『私、北条 明(ホクジョウメイ)って言います。』
「北条……」
秋夜って男も言っていた。
“北条”……
…なんでこんなに気になるんだろ……
最初のコメントを投稿しよう!