兎はどうやって愛を求めるか

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『…利音ちゃん?』 はっとして見ると明さん顔が目の前にあった。 慌てて私は少し後ろに退く。 『ボーッとしてたけど大丈夫??』 「大丈夫、です。」 『ほんとに?熱でもあるんじゃ…』 「Σガチで大丈夫ですから!!」 伸びてきた手を振り払い、ドアの方に逃げる。 気付かれないようノブを回すと、あっさりとドアが開いた。 …今なら逃げられる。 そう思った私は意を決し、明さんが私から目を離した瞬間いっきにドアを開け駆け出した。 こんな所にいてたまるか!! 後ろから明さんの声が聞こえたが無視して玄関を目指す。 後数メートルを切った、矢先だった。 『はい、おしまい。』 「っ!!」 いきなりだった。 前方から光さんが現れ、あっさりと捕まってしまった。 体はきれいに光さんの胸板に収まり、慌てて離れようと押せば相手は逃がさまいと腕に力を入れ、ぎゅぅ…と抱きしめてきた。 口元を圧迫され、うまく喋れない。 「んぅ~~!!」 『利音ちゃんいいにおいするねぇ。おまけに柔らかぁ~い。』 呑気なことを言いながら、光さんはくんくんと私のうなじに鼻を寄せた。 耳元と首筋に吐息がかかり、メチャメチャくすぐったい。 あまりのくすぐったさに身震いすれば、光さんが微かに笑う声が。 『なになに??もしかしてこれだけで感じちゃってるの??』 「Σゔぅ~~!!」 なんてこと言い出すんだこの人!! てか苦しい!! 離せと言う代わりに、ドンドンと胸板を強く叩く。
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