兎はどうやって愛を求めるか

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痛々しい音と同時に、私は光さんから解放された。 体全体から力が抜けその場に座り込む。 『いったぁ~!』 『いい加減にしねぇかバカミツ。』 見ると、額に青筋を浮かべた秋夜さんが拳を作って立っていた。 背後にはドス黒いオーラが漂っている。 『なにすんだよシュウ!』 頭を押さえながら光さんが涙目で秋夜さんを睨んだ。 『それはこっちの台詞だ。誰が手ぇ出していいっつった?』 『うっ…』 『利音ちゃん!!』 パタパタと可愛らしい足音を立てながら明さんがやって来た。 明さんは私を見ると、目を見開きキッと光さんを睨んだ。 『ちょっと光。あんた利音ちゃんになにしたの。』 『なにって、まだなにも…』 『なにもですって?ブラのホック外れてるのになにもしてないって言い切れるの??』 『っ…』 光さんが怯む。 明さんは私に視線を戻すと優しく抱きしめた。 『かわいそうに。こんなに震えて…』 震えてる? ほんとだ。私、震えてる 『大丈夫よ利音ちゃん。大丈夫…』 明さんはずっと呟いてくれた。 まるで小さな子供を慰めるように、頭を撫でながら。
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