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訪れた鎮静。
聞こえるのは、自分の心臓の音だけ。
薄々だけど、そんなことだろうとは思ってた。
私が何言っても無愛想だし、微笑みかけてもくれなかった。
可愛がるのは決まって弟だったし、私の存在は、【空気】そのもの……
「っ…」
分かってた。
分かってた筈なのに、涙がでた。
止まることを知らない涙は、どんどん溢れて流れ落ちていく…
見られまいと背を向ければ、そっと抱きしめられた。
抵抗することもできたのに、今の私にそんな気力は全くなくて……
『泣くな利音。
俺が傍にいるから――…』
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