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まだ午前中なのに日光がじりじりと肌に刺さり、不快感を生み出す熱気がアスファルトをゆらめかせる夏休み。
あたしはというと、葛城の住むアパートの前まで来ていた。
手にはお中元の余りのそうめんと田舎のおばあちゃんから貰った夏野菜がいくつか入った袋を引っ提げている。
呼び鈴を何回か押すと、中から物音が聞こえてきた。
どうやらまだ寝ていたらしい。
「ふぁー……いッ!?」
葛城はいつも以上に寝癖の酷い天パに、寝間着だろうシャツとハーフパンツだけで玄関に出てきた。
「おはようございます、先生。夏休みだからって生徒みたいに怠けてちゃダメですよー」
一気に目が覚めたらしい葛城が玄関の扉を閉めようとするのを、すかさず靴を捩じ込んで妨害。
そして玄関の扉を勢いよく開き、中を覗く。
「……はぁ、元通りですか」
以前の連休の際、あんなに掃除して綺麗になった葛城の部屋は元の腐海に戻っていた。
「じゃあ、今日も元気にお掃除しましょうか」
「……ハイ」
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