7人が本棚に入れています
本棚に追加
千夏さんがくれたチケットの映画は、最近話題の恋愛物だった。
内容は共通の友人を通して知り合った少年と少女の短くて儚いひと夏の思い出を描いた物語だ。
一番の泣きどころではあたしより葛城の方がぼろ泣きで、すかさずハンカチを貸してあげた。
「先生、そろそろ泣き止んでよ……」
「うぅ、ごめん」
映画が終わってロビーに戻っても、葛城はまだ嗚咽が止まらないでいる。
あたしは勢いよく椅子から立ち上がり、葛城の頭をぽんぽんと軽く叩く。
「ほら、気分転換に買い物行きましょう!」
「買い物?」
「ショッピングモールで普通のお買い物。先生は何のお店に行きたいですか?」
あらかじめ取ってきておいたショッピングモールの案内地図を葛城の前で広げる。
「えっと、CDショップとか見たいかも……」
「それじゃあ、トイレで顔を洗ったら、早速そこに行きましょう」
最初のコメントを投稿しよう!