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ある夏の夜。
冴木依子(サエキヨリコ)は一人、
闇に埋もれる道を歩いていた。
『23時に、薄縹公園で会いましょう』
それは山のふもとにある
小さな公園――隣町の、
あまり人気のない場所である。
『もちろん一人で』
道路脇の街灯は頼りなく点滅し、
不安を煽るには充分だった。
『このことは、決して口外しないで下さい』
依子はそっと腕時計を見た。
すでに22時を回っている。
『なぜなら――犯人に殺されてしまうからです』
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