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序幕
―――時は平安延暦三年。
人と妖とが、未だ混在していた頃……。
クシナの山深くの魔境、釈那羅乃森に故あって分け入る一人の男有り。
磁石も狂い、夜月も映らぬ魔の森半ばで精魂尽き果て倒れた男。
突如聞こえた微かなせせらぎ。
さては夢かまやかしか……。
疑心に暮れつつ歩いた先に、間違う事無き清流有り。
月夜に映ろう川辺に佇む、美目麗しゅうおなごが一人。
これはおかしと男がぽつり。
魔の森深くにおなごが一人……
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