10人が本棚に入れています
本棚に追加
見返るおなごのその顔見れば、亡くした許嫁と瓜二つ。
さては夢かまやかしか……。
近づく男に抱き着くおなご。
刹那を置いて、崩れる男の腹には短刀。
鮮血浴びて微笑むおなご。
さては鬼か妖(あやかし)か……。
崩れた男を川へと蹴落とし、真っ赤な着物のおなごが笑う。
血よりも赤い唇広げ、
闇より黒き眼(まなこ)を開き、
深紅に染まった着物を羽織り、
声高らかにおなごが笑う。
時は延暦丑の刻……。
平安鬼劇の始まり始まり……。
最初のコメントを投稿しよう!