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あぁ、あのおなごは何だったのか……。
森に巣食った妖か?
まるで許嫁の生き写しだったあのおなご。
刺されはしたが憎くは無く、また逢いたいとさえ感じる始末。
そうこう考えている内に、再び襖の開く音がする。
男が襖に顔を向けると、先ほどまでの男はおらず、代わりに大層麗しい女が一人入って来た。
少し鋭い切れ長の瞳。
綺麗に結われた長い髪。
着物はまるで花魁の様で、着崩したそれは肩まではだけ鎖骨は勿論、胸の谷間まで目に入る。
男は目のやり場に困るが女は構わず男に近付く。
左手に持った煙管をふかし、歩く姿はまるで百合の花。
やがて女は男の横に腰を下ろした。
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