とある梅雨の物語

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見つけた! デネボラにスピカ、アークトゥルス――。あれは、そう春の大三角形。 今日までずっと泣かれたお陰で星を観るのは一週間ぶりだ。そんなこんなで否が応でも心が急かされる。 「よし、準備完了!」 私は心を落ち着かせるために一度伸びをし、天を仰いだ。すると私の小さな額にポツン、と雫が注がれた。もしかして……。嫌な感じがした。 案の定、というべきか空からは私の気持ちを踏みにじるかのように。草木は天の恵みだ、と歓喜の音をあげ始めた。 「あーもう……どうして降っちゃうんだよ! 雨のバカヤロー!」 憤りを感じ、丘中に響き渡るような大声で雨を罵った。
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