とある梅雨の物語

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「あ、ごめんごめん。驚かせちゃったかな?」 「い、いえ……」 誰だろうこの人? 背丈から察するに私と同じ高校生だとは思うけれど、見覚えのない顔だ。 「急に雨降ってきちゃってまいったよ。あ、タオル使う?」 彼は星の輝きのように綺麗な笑顔を私に向けてタオルを差し出した。何だこの人……と呆気に取られているうちに、私はいつの間にかタオルを手に握り締めていた。 知らない人なのに何故だか親近感を覚える。何故だろう……。彼に借りたタオルで髪を拭きながら私はふと彼の横に立てかけてある棒状の物に目がいった。そして、あぁこれのせいか、と納得。 「ねえ、あなたも星が好きなの?」 「え、ああそうだけど? 今日は久しぶりに雨が降っていなかったから天体望遠鏡を担いで丘に登ってみたんだ。けれど三十分くらい星観に没頭してたらいつの間にか冷て、って。それで雨に気付いたんだ」
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