とある梅雨の物語

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そう、これが私に親近感を覚えさせた理由。私が通っている高校では星観なんてする人はいないし、例え友達を誘ったとしても「えーなにそれ、つまんなそう」って返ってくるのがオチなのだ。 だから彼の横にたてかかった天体望遠鏡をソレだと気付いたときには飛び上がるほど嬉しかったのは言うまでもない。 「え、でもさ雨降ってるって気付くの遅くない……?」 彼は恥ずかしそうに頭を掻きながら口を開いた。 「いやそれがさ、レンズは曇るし、雫はつくしで何かおかしいな、とは思ってたんだけど久し振りの星観だったからついついそんな不可思議なことも忘れちまって没頭してたんだよね」 ばつが悪そうに彼はそう言った。そしてその後にこう付け加えた。
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