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その夜、教室での夕陽に染まった朋美の顔が浮かんで、中々寝付けない俺がいた。
(おいおい……今さら何意識してんだ、俺は)
帰り際、朋美は俺に笑いながら言った。
「あ……じゃあ、私からひとつ慎に課題出すわ。
卒業までの半年の間に、夢中になれるモノを見つける事……何でもいいよ、教室でぼーっとする事以外ならね」
そう言って片方の瞼を軽く閉じた時の笑顔がまた。
俺を眠れなくさせてる理由のひとつかも知れない。
と、その時。
枕元でメールの着信を知らせる音色を奏でながらバイブレーションする携帯に、思わずドキッとなる。
(びっくりした! 誰だよ……って夜中の二時!?)
いわゆる丑三つ時。
午前二時を少し回った頃にメールとは、何とも薄気味悪い。
俺は眉をしかめつつも、携帯の画面を開く。
〇●○●
題名
夜分に失礼
本文
こんばんは
赤木慎クン……
突然のメールでさぞ驚かれた事でしょう
実は、退屈な日々を過ごしている貴方に、私から課題をプレゼントして差し上げようと思いましてメールを送った次第でございます
今から二十四時間後、ちょうど明日の午前二時
それまでに貴方の大事な人を救い出さなければ、その命燃え尽きる事になります
それを防ぐ事が出来るのは貴方のみ……
舞台は貴方の通う高校です
さぁ
この課題、見事成し遂げる事が出来ますでしょうか?
●○●○
「何だ? これ……」
送り主の表記されてない意味不明なメール。
俺は単なるイタズラメール、もしくはチェーンメールの類いだと思い、そのままそのメールを削除して布団に潜り込んだ。
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