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とはいえ……。
広い校内の何処にいるかなど全く検討がつかず、ただ闇雲に走り回っていた俺は、教育指導の教師に見つかり教室に帰される。
(何かしらの事件に巻き込まれたにせよ、誰もいなくなってからじゃないと探せない……か)
命が消え失せる……
つまり、殺すと唱っている限り、このメールを人に見せたり、この事を誰かに相談するのは賢明ではないと判断した俺は、生徒が下校して教員が全員帰った後に行動を起こす事にした。
(ちくしょう!! 一体、何処のどいつだよ……こんなふざけた真似しやがるのは……)
やり処のない怒りは、拳を叩きつけた机に向けられた。
そして。
一秒が一分に、一分が一時間にも感じられた長い時間が過ぎ、ようやく待ちに待った放課後が訪れる。
(まだだ……教員が帰るまで動けない)
部活が休みの美術部の資料室に隠れ潜んだ俺は、息を殺してその時を待つ。
(朋美……)
お昼過ぎに学校に戻って来た担任は、朋美が見付からなかった事を告げた。
明日の朝まで戻らないようなら、警察に捜索願いを届け出るようだ……
でも、もしあのメールが本当なら……
明日の朝じゃ遅すぎるんだ。
――午後八時。
最後の一人が校門を出たのを確認した俺は、彫刻刀を数本ポケットに入れて美術室を後にした。
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