…02…

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 『……すいません。   大きな声を出してしまって…』 俯いたまま何も言わないその人に、僕はゆっくり話始めた。  『半年前に…   兄夫婦は事故に巻き込まれて亡く   なりました。カムイも車に乗って   たんですけど、奇跡的にかすり傷   一つなく無事だったんです。   それからカムイは孤児として   教会の孤児院で暮らしていて…   つい先日、カムイの里親になる御   夫妻が決まったんです。   明日、カムイはそちらに養子とし   て引き取られていきます。   僕は、最後の思い出にと、この公園に   散歩に来たんです…』 僕は、砂場で楽しそうに遊んでいるカムイを見つめる。 その視線に気が付いたのか、カムイはニッコリと微笑んだ。  『どうして君が…   あの子を引き取らないの?』 それまで、何も言わなかったその人は、ゆっくりと顔を上げ足を組み直すと、僕と同じく砂場で遊ぶカムイを見つめていた。  『僕には…カムイを引き取る資格が   ないんです。   日本で、きちんとした定職に就い   ている訳ではないので。   それに……   兄弟と言っても兄と僕には…血の繋がり   はないですから。   僕に出来ることがあるのなら…それは……   カムイの幸福を祈ることだけなんです』 カムイを見つめる視界がぼやけた…。 泣かないって決めていたのに… なぜかこの人の前だと、隠しきれない感情が溢れ出しそうになってしまう。 大好きだったあの人と同じ顔をしてるから? 大好きだったあの人と同じ瞳をしてるから……?  
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