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『……カイン』
そう一言だけ呟くと、僕は歩き始めた。
『カインっ!
明日、待ってるから!』
何の返事も返さないまま、今度は歩みを止める事はなかった。
ねぇ、僕が来ないとは思わないの…?
初めて会う人間を信用できる…?
そんな約束なんて、出来ないよ…
明日、僕は…
貴方の元に逝くのだから。
『カムイ♪
おうちに帰ろっか』
『うん!おなかペコペコ♪』
辺りもゆっくり、オレンジ色に色付き始める…。
僕はカムイの小さな手をひいて…
一度も振り返る事なく、貴方の待つ教会へと歩き始めた…。
『カイン……
お前は、自分の感情をコントロール出来な
くなっちまう程に…
兄貴を愛していたんだな…。
あんな瞳で見つめられたら…
バレバレだっつーの………』
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