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窓の外には闇が広がり始め、時間だけが、無意味に過ぎていく。
‘貴方の元に逝く方法は…?’
出来る事なら誰にも迷惑を掛けずに、知られる事なくひっそりと逝きたい。
ベットに転がり、部屋の明かりさえともさずに、ただ、そればかりを考えていた…。
そんな思いを遮るかのように、突然テーブルの上に置いた携帯が震えだした。
ディスプレイに表示された名前を見て、思わず小さなため息をついた。
『……はい』
『カイン君?今、どちらですか?』
『ホテルの…部屋で休んでいます』
『そうですか…』
その電話は院長様からのもので…。
部屋にいると答えると、心なしか、ホッとしていたように感じた。
きっと、僕の事を心配してのことだろう。
『あの……
何か…あったんですか?』
院長様に特別な用事が無かった事など、本当は分かっていた。
ただ、深くを追及され、気持ちがぶれてしまわないように、あえて気付かないふりをしてその場を切り抜けたかった。
『すいません、院長様。
僕、少し疲れているので…
休ませて頂きたいのですが…』
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