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『カインさん』
『………はい』
『明日、本当に…
カムイ君を見送らなくてもいいのですか…?』
そう尋ねる院長様の声は、とても淋し気だった。
『はい…。
最初から決めていましたから』
‘別れが淋しくなるから…’
と、見送りはしないと決めていた。
カムイに、泣かれたくはなかったから…。
ただ、幸福になることを祈ることが出来れば…
それで良かった。
『そうですか…』
『……はい』
二人の間に、沈黙が流れる。
『何時まで、こちらにいらっしゃる
のですか?』
‘明日、あの人の元へ逝きます…’
そんな事を言えるはずもなく…
『2・3日したら日本に戻ります。
仕事がありますから…』
その場を、適当な言葉でごまかした。
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