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あぁ。なんて最悪なんだろう。
ちゃんと朝天気予報みてくれば良かった。
教室の窓の向こうに見えるのは、どしゃ降り。クルトンのどしゃ降りだ。
教室の女の子たちはみんな、今日のサラダボウルのがらについてきゃあきゃあお喋りをしていた。
「あたし、今日のサラダボウル昨日買ったばっかなんだー」
「えー何がら?何色?」
「ピンクの水玉!」
「きゃ、可愛い!」
そんな会話を小耳にはさみながら、私はため息をついた。
…まったく、ついてない。私だって、小花柄の可愛いのをついこの間買ったばかりで、早く使いたくてうずうずしていたというのに。
女の子たちのお喋りは、最近流行りのジンクスのお話になった。
「ねぇねぇ、ほら、最近話題のサラダボウルのおまじない知ってる?」
「知ってる知ってる!ピンクのマジックでサラダボウルに好きな人の名前を書いて…」
「誰にもばれずに使い切れば両思いになれる、ってやつでしょ?」
「そうそれ!」
「あたしも両思いになってあいあいボウルしたいー!」
「あたしもー!」
どうしてこう、女の子は集まるとやれ愛だの恋だの騒ぎ出すのだろうか。
そう思いながら、私はチラリと横で居眠りをする畑野を盗み見た。
馬鹿だけど、優しくて陽気ないいやつ。
私は、多分、畑野が好きだ。
畑野と、あいあいボウルしたいなぁ…
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