序章

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 「ふう、やっと着いたか」 そう言うと少年は肩にあるバックを地面に置いた。周りが少年をチラッと見ては見なかったように進んでいる。少年の容姿は黒髪が逆立っており、目は怒ったようにつり上がっているし、眉の上には切り裂かれた様な傷がある。そして持っている物も異常だ。背に刃渡りが1メートルを越えるような剣を背負っている。 「ここが魔術学園か……」 そう少年、不知火 巧汰(しらぬい こうた)は呟くとバックを抱え、学園の内部へと歩き出した。 「にしても、立派な造りだな」 巧汰がそう言うのも無理はないだろう。なんせ十階建ての建物が5個も並んでいるし、その外壁には彫刻まで刻んである。 「とりあえず、寮に荷物置いてこないと……」 そう言って巧汰が歩きだそうとすると…… ――ズダン!! 後ろからいきなり地面を踏み抜く音と殺気を感じ、とっさに体を半歩ずらし体を開く! 半瞬後、自分がいた空間に拳が打ち込まれた。 「おー、殺気を感じてからの反応が良くなったな」 と、のんきな声が響く。 「はぁ……、いきなりなにすんだ、煉」 振り返るとやはり自分の想像通りの人物が立っていた。徒花 煉(あだばな れん)、自分と同じ師に付き、修行した兄弟子になる。白い髪を後ろで無造作に括っただけで特に変わっていない。 「いやー、巧汰があれからどれぐらい変わったかと思ってな」 だからといっていきなり殴りかからないで欲しい。もう一度ため息を吐いていると、煉は 「まぁとりあえず、魔術学園ヴォルディオへようこそ」 と言った。 そうここは浮遊大陸ヴォルディオの唯一の魔術学園ヴォルディオ。 「うん、よろしく頼むよ、煉」
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