第一章

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 巧汰が目を覚ましたのは五時半だった。巧汰は適当に食事をすると制服に着替え、寮を出た。  街は霧が立ち込みまだ眠っているように静かだった。 「えっと、学園は………こっちか」 と、巧汰が呟く声が辺りに軽く響く。 「ん?」 違和感。確かに五時半ともなれば活動を開始するには早いが、全くいないというのもおかしい。 「っ!!」 巧汰が全力のバックステップ。一瞬後、 ―――ボッ!! 空間に炎が踊った。巧汰がかわさなければ瞬時に炭化しそうな熱が伝わる。 (これは、炎熱系の……、一体だれが?) 巧汰がそう考えていると、 「ふむ、良い反応だ」 と、煉と同じことを言いながら出た来た影を見つめる。そう影だ。横から見れば板の様に見えることだろう。 (こいつは………、影精を使った影送りか) 影送りとは影精に術者の意志を持たせ、伝言を伝える為のものだが、使いようによれば暗殺だって出来る。今のように魔術を寄付させればだが。 「お前はなんだ?何故俺を狙った?」 巧汰は言ってみたものの答えが在るとは思っていない。 「なに、余興だと思ってくれ」 そう言うと、術を放った影は予想通り消えていった。 「ふぅ、こりゃ退屈している暇もなさそうだな」 そう言うと巧汰は学園に向け歩き出した。
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