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巧汰が目を覚ましたのは五時半だった。巧汰は適当に食事をすると制服に着替え、寮を出た。
街は霧が立ち込みまだ眠っているように静かだった。
「えっと、学園は………こっちか」
と、巧汰が呟く声が辺りに軽く響く。
「ん?」
違和感。確かに五時半ともなれば活動を開始するには早いが、全くいないというのもおかしい。
「っ!!」
巧汰が全力のバックステップ。一瞬後、
―――ボッ!!
空間に炎が踊った。巧汰がかわさなければ瞬時に炭化しそうな熱が伝わる。
(これは、炎熱系の……、一体だれが?)
巧汰がそう考えていると、
「ふむ、良い反応だ」
と、煉と同じことを言いながら出た来た影を見つめる。そう影だ。横から見れば板の様に見えることだろう。
(こいつは………、影精を使った影送りか)
影送りとは影精に術者の意志を持たせ、伝言を伝える為のものだが、使いようによれば暗殺だって出来る。今のように魔術を寄付させればだが。
「お前はなんだ?何故俺を狙った?」
巧汰は言ってみたものの答えが在るとは思っていない。
「なに、余興だと思ってくれ」
そう言うと、術を放った影は予想通り消えていった。
「ふぅ、こりゃ退屈している暇もなさそうだな」
そう言うと巧汰は学園に向け歩き出した。
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