君は少しも悪くない

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痛い 苦しい でも、本当に痛いのは俺の胸で、本当に苦しいのは俺の心だ 物質的な痛みなんかよりも、俺の心が、胸が 壊れてしまいそうなほど痛い 何故だろう? 今、この瞬間だけは俺は彼に必要とされている。求められているのに。 苦しくて堪らない 「何勝手に出してんの」 気が付けば俺ははしたなくも玄関で達していた。 冷たい目で俺を見下ろす彼に、謝りたいのに上手く息が出来ない 「っご、‥めな‥さっ」 「‥」 何の感情も表さない彼の顔に頭の中で警報が鳴り響く。逃げろと、今すぐ逃げなければ何をされるかわからない、と本能的にわかってはいるのに 身体はその場から動かず、ただ彼に謝っていた。 逃げる? そんなことできない 俺がいなくても彼は大丈夫だ けど彼がいなきゃ俺は大丈夫じゃない 俺に愛されなくなっても彼は興味ない けど彼に愛されることを夢見て俺は生きている かな かな かな 知ってる? 貴方のいないこの部屋は 何の彩も持たない 貴方のいない時間は 何の意味も持たない 例え貴方が俺を見なくても -
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