図書館かたつむり

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「いるよぉ。」 「かたつむりはみんな美人なんですか」 「よくわかんない」 お世辞抜きでこの人は美人だ。綺麗だ。女優みたいだ。でもかたつむりらしい。 「かたつむりにもいろいろあるんだからぁ。企業立ち上げたかたつむりもいるし」 「えぇえ」 かたつむりに雇用された人間がいるのか。どうか部下もかたつむりであってほしい。 「あ、あとそこの家」 「…」 ユウララさんの指のさき。ずっと追うと古風な家が建っている、近所でも有名な資産家の家でかんじのいい夫婦が住んでるはずだ。 「近所の佐久間さんちがどうかしましたか」 「そこのひと。かたつむりなの、わたしの知り合い」 「うそだぁああああ」 そんなばかな。かたつむりは近所づきあいが、うまいようだ。でっちあげだと信じたい。 「昔はおなじニンジンをかじった仲なんだから」 「釜の飯みたいな言い回しやめてください、てか…えっ。」 「信じないなら確かめようか」 大胆にユウララさんはインターホンを軽くおす。リンドゥン。なんて豪華な音がした。インターホンじゃないみたい。 少しすると佐久間さんちの奥さんがドアを開けた。フレアースカートが似合う貴婦人なのだが。
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