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そのネットカフェは思ったより広かった。フロアも何階かに分かれていてインターネット、漫画はもちろん、ビリヤードに卓球、ダーツ、岩盤浴まである。ネカフェ難民、なんて言葉もあると聞いたがこれならここに泊まるのもわからなくはない。
「ね、シゲさん、何しよっか」
会員証ができるまで待ちながらアヤが言う。
「いいよ、アヤがしたいことすれば」
ここはとにかく時間制で、その時間内なら何をしてもいいらしい。
「じゃあねぇ~、まずはビリヤード!友達と時々やるんだけどあたし下手なんだよね~。練習しよっと」
ウキウキしながらアヤが言う。
「あ、ところでシゲさんはビリヤードとかやる?」
「まあ、昔は時々やってたな」
どうしてこう大学生くらいになるとビリヤードが流行るんだろう。俺も昔大学に行った友達とよくやったことを思い出す。
そんな話をしているうちに会員証が出来上がってきた。それをもらってビリヤード場へ向かう。
「久しぶりだな~。頑張ろっと☆じゃあ、じゃ~んけ~ん…」
「いいよ、アヤからやれば。アヤが練習したいんだろ?」
じゃんけんしようと勢いよくグーにした手を振り上げたアヤに言う。
そのままの姿勢できょとんとしているアヤが可笑しくて苦笑しながら俺はアヤに場所を譲る。
「最初、実は苦手なんだよね~…」
とぼやきながら、アヤは手玉を用意してキューを構えた。
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