北風

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目の前には鬱蒼とした木々が空を覆っていた。 空気中の水分は空への逃走を許されず、じとっと体にまとわりついてくる。 暑い。俺は持っている水を飲み干した。 足場はぬかるみ、沼地のようだ。歩きづらい。 このままでは時間無駄に過ぎてしまう。 俺は少し焦っていた。 ガサガサ 突如背後に戦慄が走る。 咄嗟に身構え、迎撃の体制を整える。 一瞬の勝負だと確信していた。 タイミングで生死をわける。集中力を切らせてはいけない。 徐々に物音は大きくなり、少しずつ地響きがしてきた。 …………………今だ!!!
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