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あまりにも唐突だった。
9年に及ぶ義務教育からようやく解放され、
(出席はほとんどしていなかったが……)
自由の翼を手に入れたというのに、
どうしてここから3年も勉学を強いられなければならないのだ。
そういう意味合いを諸々含んで、
「ふざけんな」
と返すと、売り言葉に買い言葉で、
「とにかく行ってみろ。義務教育とは全く違った楽しみがある」
と切り替えされた。
「勉強だけが高校生活じゃないんだ。勉強はどこでもできるが、高校でしか学べないものは沢山あるんだ。
いいじゃないか。夢のキャンパスワイフ」
高校にキャンパスはないし俺はまだ結婚する予定もない。
なんだキャンパスワイフって。
新手の風俗かAVのタイトルみたいだな。
という諸々のツッコミを何とか喉の奥へと押し込んで、
「っていうか、通ってもケンカして退学がオチだ
ヤンキー漫画見たいな学校なんてないんだよ。
こんな姿で高校に入れると思ってんのか」
蛍光灯下に鈍く輝く銀色の髪をかきあげながら俺はやや面倒さを滲ませて切り返した。
そう、俺の髪の色は銀髪なのである。
加えて耳には4つはピアス穴を空けているし、鼻に空けていることもあった。
極めつけは、俺の両肩から背中に至って白虎の入れ墨が入っているのだ。
こんなナリで学生服きて歩いた日には、校門に辿り着く前に職質、補導、親呼び出し、家宅捜索である。万が一無事に登校できたとしても、ハンパな実技系のアホ高校ならそれこそ3日で叩き出されるに違いないのだ。
「そのことなら問題ない。お前が通うのは県内トップクラスを誇る進学校に通わせるからな」
「問題だらけだろ」
いや、むしろ問題外だ
銀髪、ピアス、刺青の三連コンボで入学許可を出す進学校は、それは最早高校じゃない。
何を以って大丈夫と宣うのだこの婿養子は。
バカなのだろうか。
「ところで親父は高校出たのかよ」
「フッフフフ…3日で中退してやったわ!」
バカなのだった。
「あのさぁ、親父。俺はいずれこの組の上に立たなきゃいけないんだろ?」
「あ?」
「早い話、どのみちヤクザの道を歩く俺がカタギの世界に進むっていうのは、なかなか諸手をあげられるものではないだろ?」
「……」
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