嵐の前の静けさ

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「じゃあこのナリどうすんだよ。いい子チャン学校にこの格好わ無理だろ。」 俺は目の前に伏せる父親(婿養子)に向かって全身をアピールするように振って見せた。 当面の問題は髪、ピアス穴、入れ墨である。 とにかく外見から何とかしなくては、高校生活もキャンパスワイフもあったものではない。 だが、さすがの親父もこの事は考えていたのか、事前に用意した方法を提示することで決着を見た。 プロブレム1ー『銀髪』 アンサー1『カツラ』 ただのせたりするものではなくウィッグに近い、というかウィッグである。 親父が用意したのは、実に無難なミディアムショートの黒髪だった。 プロブレム2ー「ピアス穴」 アンサー2「パテで塞ぐ」 専属の特殊メイクで、目立たないまでにパテを上塗りして消すという。 しばらくその状態にした後、自然に塞がるのを待つということだ。 当面は周囲から、耳たぶが異様にでかい人間として扱われそうである。 プロブレム3「刺青」 これが目下最大の問題である。 上の2つに関しては、チョットハシャイだ程度で済まされる話だろうし、 入学後の生活で更正は可能だろうが、刺青だけはそうはいかない。 刺青は容易に消せるものではないからだ。もし、消したとしても、少なくとも背部には肩甲骨から腰辺りまで火傷のような跡が残ってしまう。 どのみち人前では容易に着替えることはできない。 体育や水泳などの多い学校では到底隠しきれるものではない。 そしてこの問題点に関して言い出しっぺの親父の出した回答は、 「放置」 まじかこいつ。
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