すべての音に耳を傾(かたむ)けろ!

5/25
前へ
/75ページ
次へ
「それじゃ、どんなに演技が上手くても、別人のように演じられないですよ!そんなので、自分以外の役が演じられるわけないじゃないですか?」 私は彼に呆れていた。 だって、人にはその人独特の雰囲気がある。例え自分と似たところを見つけたところで、決してなれるものではない。特に自分のことを知り尽くしている人は分かっているからこそ、必死に別人に成り切ろうとする。私は浜口さんの演技を見ていて、そんなものは感じとれなかった。 むしろ、自分のことをよく分かってないのを感じた。本当の自分に目を背けるようなものを。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加