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海沿いの道をひたすらに車を走らせる河合先輩の横顔は、何を考えているのか読めない。
トンネルの先のカーブを抜けると海面が煌めいている。
そろそろ落ちようとしている太陽の光の温かさが肌にしみる。
河合先輩は自分の高校の近くに車を止めた。
海が目の前に広がっている。最高のロケーション。
うわ。こんなとこに通っていたら、絶対にぜんぜん勉強する気にならない。
「ここが俺の高校。俺、岡田も来るって、待ってたんだけどな」
今、待ってた……って言った?
最後の方は聞こえるか聞こえないかの小声だった。
車を降りて私の方のドアを開けてくれた。手を差し出す。
え?なんですか?その手は?あのレディファーストってやつ?
そんなこと、普通しないよね?
彼はにっこり笑う。「ほら。降りて。足元に気をつけろよ」
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