67人が本棚に入れています
本棚に追加
私、あんまり覚えていないの。あの時、学校の中を案内してくれたのに。
夜になるまで何をしていたんだろうって、今でも時々思い出してみるけど……。
海沿いの夜の道は、等間隔に立つオレンジ色の街灯に照らされていた。
明りと明りのわずかな隙間は嘘みたいに真っ暗で、道に沿って灯されている様々なネオンの色が混じり合って、あたりは独特の色合いを成していた。
だけど恐れるようなことは何もない。
暗い海を、走行する暗い車内から見ている。
時々、河合先輩は黙りこむから、私はちらりと彼の顔を見る。
街灯のオレンジ色が河合先輩の横顔を舐めるように照らし去っていく。
こんなにカッコよかったかな……。
「んん?なんだよ?カッコいいって思った?」
「!……思ってないよ!」
なぜかとても恥ずかしかった。
「ムキになるなよ」
「……なってないもん」
最初のコメントを投稿しよう!