67人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
今朝、偶然、通学途中のバスで河合先輩に会った私は、以前と同じように挨拶をした。
それから河合先輩の留学話を聞いた。ディズニーランドの話やホームステイ先のホストファミリーの話。
初めて聞く話は楽しかった。
ころころ笑いながら先輩の話を聞いた。
「免許、向こうで取ってきたんだ」と河合先輩が言った。
高校生で車の運転ができるなんて、宇宙飛行士ばりにすごいと思った。
「ほんとですか?すごい!」素直に無邪気に言うと「ドライブに行こうか?」と先輩が言う。
どきんとした。
その途端にバスががたんと揺れて、私の足元がふらりとした。
河合先輩が当然のように私の体をぎゅっと抱き寄せて支えた。
一瞬、頭が空白になった。
頭の上の方で「今日、何時まで?迎えに行くよ」と言う河合先輩は、特別なことをしているとは思ってないらしい。
付き合ってもいない男の人とこんなに密着するなんて初めてのことだ。
最初のコメントを投稿しよう!