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翌日、いつも通り学校に行く準備をして階段を降りると、父が玄関にいて、靴を履いていた。
母が父に鞄を渡すと、父は行ってくると言ってドアノブに手をかけた。
ちょっと気まずかったが、俺は父に言った。
「父さん。行ってらっしゃい」
すると、父は俺を見て微笑むと、扉を開けて仕事に出掛けた。
母は俺をチラッと見ただけで、直ぐに顔を背けた。
昨日のこともあって、気まずいのだろう。
俺は母にも挨拶をして、朝食を食べに向かう。
母からの挨拶はなかった。
あれから3日。
父からまだ返事はない。
俺はいい加減痺れをきらして、父に直接話を聞くことにした。
聞くのは父が寝る前。
父は寝る前に読書をするのが習慣になっている。
母は父より先に寝る為、父は1人でいるから、この時間帯がチャンスだと思った。
俺は音をたてないように、リビングに向かう。
ドアのガラス窓からリビングを覗くと、思った通り父は一人だった。
しかし、読書はしていない。
腕を組んで、目を閉じていた。
寝ているのだろうか。
テーブルには、白い紙が一枚。
俺は気にすることもなく、静かに扉を開け、部屋に入った。
やはり父は寝ているらしく、俺が部屋に入っても、体勢は変わらなかった。
俺は起こそうとしたが、白い紙が目に入った。
…その紙は、信じられないものだった。
離婚届。
「………ぇ…?」
離婚届?
俺は驚きのあまり、体のバランスを崩してその場に座り込んだ。
頭が、真っ白だ。
俺はしばらく動けずにいた。
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