28人が本棚に入れています
本棚に追加
放課後、俺と和也は教室でテスト勉強をしていた。
辺りはもう暗くなり始めていて、他の生徒は殆ど帰ったらしく、教室にも俺達を含めて5人しかいない。
勉強に飽きた俺は、シャーペンを置いて、隣に座っている和也に話し掛けた。
「なぁ、今回のテスト範囲広くね?死ぬってこれ」
「んー、そうか?」
「しかも一番苦手な数学が一番範囲広い」
「祥が勉強しなすぎなんだよ」
和也は視線を机に向けたまま、ペンを動かし続ける。
お前は頭がいいんだから、勉強しなくても余裕だろうに。
なんでそんなに頑張るんだ。
完全にやる気をなくした俺は、何か飲み物でも買ってこようと立とうとした。
その時、ふと、斜め後ろに座っているクラスメイトに目がいった。
…キスしてやがる。
お前ら、ここ教室だぞ…。
つーか周り見ろよ!
他に生徒がいるだろうが!
もう1人いたクラスの女子生徒は、顔を真っ赤にして、そのカップルを見ていた。
だが、俺の視線に気付いたのか、そそくさと教室から出ていった。
和也は余程集中しているのか、カップルに気付いていない。
俺は机に伏せて気付かない振りをしたが、荒い息づかいが聞こえてきて……。
(こっちまで変な気分に…っ)
耐えられなくなった俺は、カップルを睨んで
「お前ら他でやれよ」
すると、カップルも俺を睨み、無言で教室から出て行った。
はぁ。と溜め息をつくと、突然「バサッ」と音がした。
隣を向くと、顔を真っ赤にした和也がいた。
→
最初のコメントを投稿しよう!