仕掛けたのはそっち

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放課後、俺と和也は教室でテスト勉強をしていた。 辺りはもう暗くなり始めていて、他の生徒は殆ど帰ったらしく、教室にも俺達を含めて5人しかいない。 勉強に飽きた俺は、シャーペンを置いて、隣に座っている和也に話し掛けた。 「なぁ、今回のテスト範囲広くね?死ぬってこれ」 「んー、そうか?」 「しかも一番苦手な数学が一番範囲広い」 「祥が勉強しなすぎなんだよ」 和也は視線を机に向けたまま、ペンを動かし続ける。 お前は頭がいいんだから、勉強しなくても余裕だろうに。 なんでそんなに頑張るんだ。 完全にやる気をなくした俺は、何か飲み物でも買ってこようと立とうとした。 その時、ふと、斜め後ろに座っているクラスメイトに目がいった。 …キスしてやがる。 お前ら、ここ教室だぞ…。 つーか周り見ろよ! 他に生徒がいるだろうが! もう1人いたクラスの女子生徒は、顔を真っ赤にして、そのカップルを見ていた。 だが、俺の視線に気付いたのか、そそくさと教室から出ていった。 和也は余程集中しているのか、カップルに気付いていない。 俺は机に伏せて気付かない振りをしたが、荒い息づかいが聞こえてきて……。 (こっちまで変な気分に…っ) 耐えられなくなった俺は、カップルを睨んで 「お前ら他でやれよ」 すると、カップルも俺を睨み、無言で教室から出て行った。 はぁ。と溜め息をつくと、突然「バサッ」と音がした。 隣を向くと、顔を真っ赤にした和也がいた。 →
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